私的少女漫画史大風呂敷1965〜1969年

北海道のド田舎に住んでいたせいか(隣の家まで500m、近くの雑貨屋とバス停まで5、6km)、漫画らしい漫画を読んだ記憶はないのですが、1966年に田舎から街へ引っ越した時にそれまで読んでいた「こどもの光」という雑誌に掲載されていた藤子不二雄の漫画(タイトル不明)の続きが読めなくなったのを残念に思った記憶があります。プールで泳いでいた主人公が突然排水孔みたいなところから吸い込まれて、いきなり半魚人に改造されてしまうという話。一体、あの話、最後はどうなったのか、いまでも気になっています。

でもこのころ読んでいた小学館の学年誌に掲載していた「かあさん星」(谷ゆき子) は続きがどうしても読みたくて、結局毎月雑誌を買ってもらうようになりました。親も小学館の学年雑誌なら教育にいいと思っていたんでしょう。この当時別冊マーガレット(別マ)は仲がよかった従姉妹の家で、週刊マーガレットは(週マ)学校に持ってくる子がいて見せてもらってました。

別マには週マで連載していた作品の総集編が良く載っていて、西谷祥子の「われら劣等生」や「ギャングとお嬢さん」などは週マではなく別マで読んだものばかりです。

この頃は恐怖漫画がはやっていたらしく、楳図かずおのへび女物(リストでは少女フレンドのものになっているが、私はなかよしの別冊付録で読んだ記憶がある。タイトルは「まだらのへび女」だったような?)や古賀新一や好美のぼるの怪奇マンガなど結構たくさんありました。私は怖いというより不気味だと思ってましたが友人達はみな一様に怖がっていて、中にはそのページだけ毎週読めないように貼り付けてしまう子もいました。でもそんなことする方が怖いと思うんですが。

古賀新一はとにかく不気味で、タイトルがその不気味さをさらにあおってました。「のろいの顔がチチチとまた呼ぶ」とか「ヒルが吸いつく」とか。名詞止め(「ナナとリリ」「ガラスの城」「ブロードウェイの星」など)のタイトルが多い中、状況を克明に表現したままのタイトルは新鮮でもありました。

あと、楳図かずおの「赤んぼう少女」は今思いだしても結構怖い。岸田劉生の「麗子像」そっくりの赤ん坊少女タマミちゃんが、ふと見たら窓の外に貼り付いてたりしたら、やっぱり今でも怖いです。
……とはいうものの。1994年に角川ホラー文庫から出た「赤んぼう少女」(699円、452p、巻末に大槻ケンヂと楳図かずおの対談あり)を読み直してみて驚きました。子どもの時あれほど恐かった話なのに、今読むととても哀しい話でした。見ためも醜い妖怪のような「赤んぼう少女」にならざるをえなかったタマミちゃんの哀しい話でした。

松本零士の「巻毛のロン」は動物物の作品ですが、読み終わってから生まれて初めておいおい泣いてしまった漫画でした。もちろん最後にロン(主人公の飼い犬)が主人公の少女を助けようとして死んでしまうという、いかにもな話です。

当時私は図書館に行っては大好きだったSFばかり読んでましたが、少女漫画でのSF作品は非常に少なく、たまに目にするSF作品(らしきもの)はどれも印象的で結構覚えています。

月基地が舞台の「ありがとうエス」(河あきら)、アンドロイド物の「ダニイル」(もりたじゅん。主人公の女性とアンドロイドの恋愛物。一番最後にアンドロイドのダニイルが解体されることになるが、その時の研究者の「我々はダニイルを美しく作りすぎてしまった」という台詞が印象的だった)、タイムトラベル・エスパー物「アストロツイン」(竹宮恵子)、宇宙移民物「宇宙600年」(西谷祥子)、宇宙人物「ルナの休日」(美内すずえ)、人工生命物「モンキーロック」(美内すずえ)、等など。でも小学校低学年でSFを読む女の子なんて他にいなかったので、同じ読書好きの友達ともそこだけは話があわなかったものでした。

1969年くらいまでの作品

注記事項

★ 面白度 or 印象度 or 衝撃度5
● 面白度 or 印象度 or 衝撃度3
○ 面白度 or 印象度 or 衝撃度1
□ 当時人気だった作品、当時の話題作、他
◆ その他の出来事
D デビュー作

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作品名 作者名・掲載誌・掲載年
1965
★ママがこわい (楳図かずお, 週フレ, 1965.No.32-No.36)
●まだらの少女 (楳図かずお, 週フレ, 1965.No.37-No.45)
○おはようエルザ (細野みち子/週フレ)
○どろぼう天使 (大和和紀/週フレ)
◆別冊少女フレンド創刊
□5年ひばり組 (巴里夫/りぼん)
1966
★みそっかす (ちばてつや, 週フレ, 1966.不明)
●白へび館 (古賀新一, 週マ, 1966.不明)
★ハニーハニーのすてきな冒険 (水野英子, りぼん, 1966.不明)
●ジルとMr.ライオン (西谷祥子, 週マ, 1966.No.15-No.53)
●へび少女 (楳図かずお, 週フレ, 1966.No.11-No.25)
●レモンとサクランボ (西谷祥子, 週マ, 1966.No.21-No.41)
●いしだたみ (西谷祥子, 別マ, 1966.07)
★巻毛のロン (松本零士, りぼん付録, 1966.09)
○赤毛のスカーレット (水野英子/週マ)
○サイボーグ009 (石森章太郎/週刊少年)
◆TVアニメ「魔法使いサリー」
□巨人の星 (川崎のぼる/週マガ)
1967
●のろいの顔がチチチとまた呼ぶ (古賀新一, 週マ, 1967.不明)
★ブロードウェイの星 (水野英子, 週マ, 1967.不明)
★赤んぼう少女 (楳図かずお, 週フレ, 1967.不明)
●天才バカボン (赤塚不二夫, 週マガ, 1967.No.15-1978.No.16)
★われら劣等生 (西谷祥子, 週マ, 1967.No.17-No.25)
★ナナとリリ (里中満智子, 週フレ, 1967.No.18-No.47)
★ギャングとお嬢さん (西谷祥子, 週マ, 1967.No.32-No.42)
○学生達の道 (西谷祥子/週マ)
○女の子あつまれ (楳図かずお/なかよし)
○ジェシカの世界 (西谷祥子/週マ)
◆デラックスマーガレット創刊
□幻魔大戦 (石森章太郎/週マガ)
□スイート・ラーラ (北島洋子/りぼん)
□太陽のカトリーヌ (本村三四子/週マ)
□怪盗こうもり男爵 (飛鳥幸子/週フレ)
1968
★なみことリカ (望月あきら, なかよし, 1968.不明)
★銀のかげろう (牧美也子, りぼん, 1968.不明)
★わすれな草 (わたなべまさこ, りぼん, 1968.不明)
★雪のセレナーデ (一条ゆかり, りぼん, 1968.03)
★みいとおばけちゃん (もりたじゅん, りぼん, 1968.12-1969.02)
○テレビ天使 (ちばてつや/週フレ)
○花びら日記 (西谷祥子/週セ)
○Uターン禁止 (大和和紀/週フレ)
◆週刊セブンティーン創刊
□ビバ!バレーボール (井出ちかえ/りぼん)
□ただいまの記録2分20秒5 (藤原栄子/週マ)
□Oh!ジニー (本村三四子/週マ)
□あしたのジョー (ちばてつや/週マガ)
□あこがれ (細川知栄子/週フレ)
□アタックNo.1 (浦野千賀子/週マ)
□サインはV! (望月あきら/週フレ)
□なぜGSがいけないの!? (吉森みきを/週マ)
□ララ・ハート (里中満智子/週フレ)
1969
★ファイヤー! (水野英子, 週セ, 1969.不明)
★カリブの女海賊 (丘けい子, 週マ, 1969.No.25-No.34)
●野性のプリンセス (高橋京子, 別マ, 1969.不明)
★ガラスの城 (わたなべまさこ, 週マ, 1969.不明)
★二人の救世主 (山上たつひこ, 週マガ, 1969.No.7-No.9)
●悪魔のハープ (もりたじゅん, りぼん, 1969.05)
●夜のフェアリー (一条ゆかり, りぼコミ, 1969.07)
●ルルとミミ (萩尾望都, なかよし, 1969.08D)
★スマッシュをきめろ! (志賀公江, 週マ, 1969.No.33-1970.No.36)
●進め!バディ (美内すずえ, 別マ, 1969.10)
●海にかける橋 (井出ちかえ, りぼん付録, 1969.10)
●インテリ五エ門 (桑田次郎, 週マガ, 1969.No.44-No.52)
★挑戦, 丘けいこ (週マ, 1969.No.42-No.49)
●冒険ルビ (手塚治虫, 小1-小2, 1969.10-1970.07)
★ダニイル (もりたじゅん, りぼコミ, 1969.11)
★命はてる日 (大島弓子, 週マ, 1969.No.47)
●ありがとうエス (河あきら, 別マ, 1969.12)
○コニーとぼく (青池保子/なかよし)
○おーい青春! (青池保子/週フレ)
○笑っちゃいや〜ん (土田よしこ/りぼコミ-りぼん)
○ミニミニ先生 (山岸涼子/りぼコミ)
○リュウの道 (石森章太郎/週マガ)
○キッカイくん (永井豪/週マガ)
◆りぼんコミック創刊
◆別冊セブンティーン創刊
□ほらふきドンドン (ジョージ秋山/週マガ)
□金メダルへのターン (細野みち子/週フレ)
□おくさまは18才 (本村三四子/週マ)
□誰もわかってくれない (武田京子/りぼん)
□レディー・アン (里中満智子/週フレ)
◆TVアニメ「アタックNo.1」




 




 

 













 

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