「かあさん星」とは

今思い返しても。谷ゆきこの「かあさん星」は私にとって多分漫画開眼の作品ではなかったのか、と思う作品でした。小学二年生の時に、隣の家まで何百mという北海道のど田舎から一応人口15万人程度の都市に引っ越しをして、多分そのときに小学館の学年誌をたまに買ってもらったりしたのではないかと思うのですが、「かあさん星」は続きがどうしても読みたくて、結局毎月雑誌を買ってもらうようになった作品でした。

概要

連載期間
小学二年生、昭和41年7月号〜小学三年生の昭和43年3月号(各ページは毎号15ページくらい)
登場人物
二篠すみれ、妹:ターちゃん(たんぽぽ)、母:二篠良子
居住地
岩手県
内容
母を尋ねて三千里、ハッピーエンド
備考
昭和42年9月の小学3年生に「かあさん星」の歌掲載。
初代「かあさん星」。2代目「かあさん星」(小学一年生/昭和46年1月号〜小学三年生/昭和47年9月号掲載) とは登場実物名のみ同じ。

あらすじ

すみれちゃんと妹のターちゃんのおとうさんは小さい頃に死んで、お母さんは東京に働きに行っています。ターちゃんは声がでないのでしゃべれません。一緒に住んでいるおばあちゃんが死んでしまい、帰ってこないおかあさんを探しにすみれちゃんたちは東京に行きます。おかあさんが見つからずに帰る途中、すみれちゃんが電車から降りてアイスクリームを買っているうちに電車が発車してしまい、すみれちゃんとターちゃんは離ればなれに。しかもその電車に事故が起きてしまい、すみれちゃんも駆け付けますがターちゃんはどこにもいません。
実はターちゃんは電車で向かいの席に座っていた親切なおじさんの家にいました。でもおじさん以外の家族がいじわるで、見かねたばあやが郷里に帰る時にターちゃんを連れて帰りますが、そこでもいい顔をされなかったためターちゃんはばあやの家を出てさまよい、その時におかあさんを見かけます。でもおかあさんは何の反応を示しません。実はおかあさんは車の事故で記憶喪失になっていたのです。ターちゃんを探しにまたもや東京に来たすみれちゃんは雪の中で倒れているターちゃんを発見します。
すみれちゃんとターちゃんは以前上京した時にお世話になった親切な老夫婦の家に住み込み、学校も東京の小学校に転校します。そしておかあさんと再会しますが、おかあさんは子どもたちのことが思い出せないのが重荷となってすみれちゃんの前から姿を消します。でもなんとか無事記憶を取り戻したところで、死んだはずのお父さんパリにいることがわかります。
お父さんは昔、飛行機事故のため半年間眠り続けて、目が醒めた時に日本の家族に連絡しようとしたものの連絡がつかなくて行方不明扱いになってしまっていたのです。
無事家族4人が揃ったところで口がきけないターちゃんが手術によって声が出るようになるかもしれないということがわかります。でも手術の途中輸血用の血液が足りなくなりラジオで血液の提供者を募ります。もちろん、血液型はRh−AB型。やがて提供者が現れ無事手術が成功し、家族4人は古里(岩手)に帰りました。めでたしめでたし。

感想

かつて漫画に関しては異常な記憶力を誇った私が、小学館の学年誌に関しては『かあさん星』以外の漫画作品の記憶がないのが不思議でしたが、この作品を見てその理由がわかりました。
 昔、ジェットコースタードラマという、とんでもなく展開が早いドラマがありましたが、あれを見ているようでした。あんだけ次から次と事件が起こって、しかも1カ月見ないと次が読めないというのはさぞかし気になって待ち遠しかったと思います。この作品を見るだけでもう、燃えつきてしまったような感じだったのかも知れません。
それから。あまりにも不幸な事件の連続だっただけに、終盤近くなって次々と解決して段々幸せそうになっていくにつれ、お話も盛り下がっていくのが感じられました。谷ゆきこの他のバレエ作品は不幸に終ることが多いようですが、それはこのせいかも。

その他

*バレエは全く出てきませんが、内容とは全く無関係に、バレエの衣装を着たすみれちゃんとターちゃんのカラー表紙や、バレエ衣装姿のすみれちゃんの描き方教室のページがありました。

*昭和42年9月の小学3年生に「かあさん星」の歌掲載。

*小学三年生10月号の予告ページに「ふろく/谷ゆき子先生のきせかえセット」とあり。ほしーーーーーぃ!!



クリックすると拡大します。